十和田の12ヶ月

2021
1月

厳しい冬と湖の氷

厳しい冬と湖の氷
北東から吹き付ける風が多量の雪をもたらす十和田の冬。 湖は深く、風にさらされるので全面結氷することは稀ですが、 穏やかな日が続くと表層だけ凍ることも。 キラキラと輝く氷が、モノクロの世界のアクセント。 湖畔に打ち寄せる波が枝に付着して凍り、 まるで天然のイヤリングのようなしぶき氷も見られます。
2020
2月

光の春と凪

光の春と凪
標高400mと脊梁山脈の真上にある湖が、真冬に晴れることは珍しい。 それでも、2月も後半になると天気になることもあります。 そんな日に現れる白と青だけの世界は、この世のものとは思えない美しさ。 思い切って湖に出てみれば、カルデラ湖の外輪山が湖に映り、まるで線対称の絵画のよう。 まだまだ降雪は続きますが、晴れ間がのぞくことが増え、 日没が日に日に遅くなることから、「光の春」と呼ばれます。
2019
3月

雪解けの水

雪解けの水
日中、気温が0℃を超える日が多くなり、積もった雪もだんだんかさが減ってきます。 溶けた雪は水となり、湖に流れ込み、天上の湖を潤します。 雪と氷の世界への名残りを惜しむ頃、森に目を向ければ、 マンサクの黄色いつぼみが春を呼んでいるようです。 野鳥が渡りの準備をはじめ、賑やかな声が聞こえるのもこの頃。 人間と同じく、旅立ちの季節なんですね。
2018
4月

一瞬の春紅葉

一瞬の春紅葉
十和田の森に春を感じるのは、水辺に多いカツラの芽吹きです。  それまでモノクロだった落葉樹の森にひと際赤く見えるのが、カツラの花。  誰しもが見たいと願う秋の紅葉と違い、知る人ぞ知る「春紅葉」です。  ですが、春の陽気の中でどんどん芽吹きはじめるので、見られるのはほんの1週間程度。  まだまだ朝晩は氷点下になることもありますが、わずかな色の変化に春を感じられる繊細さが、十和田にはありました。
2017
5月

桜と新緑と

桜と新緑と
カツラからブナ、ミズナラへと薄緑の芽吹きが進む頃、 山肌にはヤマザクラがひとつ、またひとつと見ることができます。 ヤマザクラにもいくつか種類があり、それぞれに花期が違うので、 およそひと月の間サクラを楽しめるのです。 一面のピンクの景色は街の公園に任せて、自然の箱庭らしい、 多種共存の森のありのままの姿を、最も感じられる季節かもしれません。
2016
6月

早朝の魔法の雲海

早朝の魔法の雲海
雨が続き、カルデラの中が湿気に満たされ、風が穏やかで晴れる日。 そんな日の早朝は、雲海が望めそうです。 真っ白な霧に包まれた湖畔から外輪山を駆け上がり、雲を抜けて展望台へ。 そこにあるはずの青い湖は見えず、白い霧の湖面に二つの半島だけが横たわっています。 ですが、人々が働きはじめるころには雲は散り、エゾハルゼミがこだまする元の湖に。 まるで、魔法のランプの中に雲が吸い込まれてしまったようです。
2015
7月

ヤマセ・リゾート

ヤマセ・リゾート
夏は、東からの冷たい風がやってきます。 太平洋でたっぷり水分を含んだ雲が、まるで外輪山から襲ってきたようです。 そんな日は、昼でも涼しい極上の避暑地です。 湖の東側にあるこの場所は、ヤマセの影響を受けやすく、 トンネルを挟んだ西隣の集落との間でも天気が異なることがしばしば。 日によっては日本海からの高気圧に覆われて、30℃近くなる日もありますよ。
2014
8月

深い緑の中で

深い緑の中で
本州で最も遅い梅雨明けを終え、まさに「盛夏」。 落葉樹がここぞとばかりに葉を広げ、その一枚一枚が精一杯働いています。 厳しい冬を迎えるためには、いま頑張って蓄えなければいけないのです。 今年生まれた鳥たちは巣立ちの季節。飛ぶ練習を済ませ、今にでも飛び立ちたい。 親鳥は我が子が無事ひとりだちできるか、気をもんでいることでしょう。 夏にたくさん動き回りたくなるのは、人も木も鳥もおんなじですね。
2013
9月

とろける水

とろける水
少しずつ日の入りが短くなり、昼の気温も落ち着いてくるこの頃。 夕暮れ時の水辺に目を向けてみると、穏やかにたゆたう水面に、 時が止まったかのような静けさを感じられます。 頬をそよぐ少し冷たい風と、香りはじめるカツラにはっと我に返れば、 賑やかだった夏と、まもなくやってくる燃えるような紅葉の間にいる。 そんなひと時の静寂を、噛みしめたくなる季節です。
2012
10月

日々染まる紅葉

日々染まる紅葉
八甲田の山から順々に降りてくる紅葉は、 十和田の森では10月下旬に最盛期を迎えます。 黄色く色付くカツラやクロモジ、オレンジ色のブナやミズナラ、赤く色付くカエデの仲間。 鮮やかに染め上げられた外輪山が、空と湖にサンドイッチされています。 古くから人々の心を動かしてきた景色は、 木々が葉を落とす直前の最後の輝きです。
2011
11月

落葉と名残り水

落葉と名残り水
すっかり葉を落とした森は、なんだか見通しがよくなりました。 森の底に光が届き、大きくなりすぎたシダが光を集めています。 一枚一枚と落ちていく葉が森に積もり、目に見えない生き物に分解され、 次第に豊かな土となり、また森が潤っていきます。 つい先日までの饗宴が噓のように、誰も目をくれなくなっても、 自然はめぐり、時を重ねていくのです。
2010
12月

全てを隠す白い世界

全てを隠す白い世界
十和田では大抵、11月に初雪が降ります。 ですが、春まで溶けない「根雪」になるのは12月に入ってから。 積雪が30センチを越えてくれば、雪と親しむツール・スノーシューの出番。 ほかにも、歩くスキーやそりも使えるように。 森の中を自由に散策できるので、夏よりも行動範囲が広がるのです。 実は、冬こそ楽しい十和田湖なんです。